100年後にも残したい風景がある。 NPOブナガヤヘリテージクラブ
NPOブナガヤ・ヘリテージ・クラブについてBHC会員登録BHCへのお問合せBHCホームに戻る
1for1プロジェクト詳細

活動報告=フィールドワークレポート
 ・現地調査
 ・環境改善&放流活動
 ・養殖活動

ツアー・イベント報告
・体験学習予定
・イベント・体験報告
・ツアー報告

講習会
RDBカテゴリー
飼育と観察
当サイトについて
掲示板


ブナガヤ・ヘリテージ(株)公式サイト

 ブナへリ・フィールドワーク

希少種
「タカサゴヤガラ」の保護イベント2010年4月4日



タカサゴヤガラ(沖縄の野生ラン)

 
 ご指導:鳥取大学農学部菌類きのこ遺伝資源研究センター 谷亀 高広 先生
協賛:沖縄レザーファクトリー 様
特別協賛:TARUGO 代表 玉城 進二 様
協力:株式会社沖縄シャングリラ 代表取締役 万代 悟 様 
 


雨降る今帰仁の山道へ


シャングリラへ到着


雨。 強まったり、弱まったり・・・


開始の打ち合わせ。玉城主宰中央。


実行委員長の大城さんは大忙しでした。



参加者気合十分


ベイビーも参加!


雨の中、現場へ突入決行!


あった~っ! どれどれ?


中央の花が希少種タカサゴヤガラ。



スコップでぐさり。え~っ・・大丈夫ぅ~!?


ひとつヤルも、ふたつやるも同じだ!



スコップ名手荻堂さんは造園業



この子供達が、新群生地発見!
左から 知念ともき君、小田ショーン君、伊禮正太郎君。



みんなが採掘している間に、沖縄シャングリラの比嘉会長と、万代社長は、移植先の花園を準備。



さぁ、植え込むぞー


(株)ブナガヤヘリテージの伊禮社長も!



最後に記念碑。左からシャングリラ万代社長、比嘉会長、ブナガヤヘリテージクラブ大城実行委員長


完了! お疲れ様でした!


沖縄の野性ラン
タカサゴヤガラ
の移植活動のレポート!



平成22年4月4日(日)残念ながら雨


沖縄(琉球列島)に生育する維管束植物で絶滅あるいは絶滅の恐れのある植物は846種類もあるとされています。
今回ブナヘリメンバーは、その中でラン科イモラン属のなかま、「タカサゴヤガラ」の保護活動を実施しました。

タカサゴヤガラ」について詳しくは後記「タカサゴヤガラ保全の意義」
(寄稿:鳥取大学農学部菌類きのこ遺伝資源研究センター谷亀 高広 先生(グローバルCOE研究員)をご参照下さい。




皆様、余りご存じないかと思いますが、実はこの「タカサゴヤガラ」と言うラン、日本国内には、わずか2箇所にしか自生してなく、その2箇所とも沖縄島(本島)という、極めて希少なランの仲間なのです。(絶滅危惧ⅠA類)

今回はそのうちの一箇所で、鳥取大学農学部菌類きのこ遺伝資源研究センター谷亀 高広 先生からのご提言を頂き、当ブナヘリ・クラブと沖縄レザーファクトリー(TARUGO玉城進二氏)の共同チームが保護活動に参加することになりました。

実はこの場所、近々宅地の分譲のため、タカサゴヤガラ(株ごと)をご近所へ移植する作業が必要なところです。
そのため、本来このような希少な植物の自生地は非公開となるのですが、今後多くの人の目に留まる事もあり、あえて場所を公開してもっと多くの方にも見ていただこうと言うことになりました。

場所は今帰仁村諸志の山中にある別荘地「沖縄シャングリラ」の分譲地内。
また今回は地権者であられる「株式会社沖縄シャングリラ」様の多大なるご協力のもと保護活動が実施できました。(感謝申し上げます)



当日はあいにくの「雨」にも関わらず、参加者30人は、カッパ&傘の完全武装論理派と、「雨でも、矢でも降りやがれ・・」と言わんばかりの無防備精神力派が入り乱れ、雨のせいか、いつものフィールドワークとは違って、どこか興奮気味な参加者の皆さんでした。



タカサゴヤガラの自生地は事前の調査である程度の植生範囲と「3株」を把握しておりました。
雨の中、参加者の皆様が必死になって「花」を目印に、新たなタカサゴヤガラ株を探しまくります。・・・が、・・
なかなか見つからず、タイムアップギリギリで野生眼力No1の平良さんが藪に埋もれかけた「新人君」を発見!

さぁ、今度は「植え替え」に取り掛かろうと引き上げかかったその時でした!

「あった、あった、あたらしい群生地がっ!」
遠くに見える、ちびっ子たちが何やら大騒ぎ!

200mほど離れた場所で、私達の事前調査で未確認だった新たな群生地を発見したのは
沖縄市立山内小学校6年 知念ともき君と、
沖縄クリスチャンスクールインターナショナル6年生 小田ショーン君、
沖縄市立美東中学3年 伊禮正太郎
でした。

私達大人は先入観(ここには無かった!)で行動しますが、子供達の自由な発想と行動がいかに大切か痛感!!
よくやった!

「ここにもあドゥ~(ある)!」
「早く来てへぇ~!、ここにもあドゥ~!・・」
と、大興奮の子供達の叫びがあちらこちらから・・・
降雨のことなどすっかり忘れて、大人達もズブヌレになって夢中で掘り出しました!




タカサゴヤガラ。この日、トータル20株を新天地へ移動。

遠くから参加されたブナヘリ・メンバーお皆さん、沖縄シャングリラの社長さんと会長さん、そして、ご当地で住んでらっしゃる住人の皆さん、みんなの力で無事移植完了です。

開発と自然保護のバランスが問われるこの時代、事業者さんと、地域のボランティアの協力でこんなにすばらしい自然保護が実施できた貴重な体験となりました。今後も皆さんの「思い」で、このタカサゴヤガラがいつまでも花を咲かせ続けられることに期待します。

当日参加できなかった皆さんも、週末のヤンバルドライブの際には是非現地へお立ち寄りになってご覧下さい。




最後に
雨の中、ケガも無く無事に作業を終了できました。(例外:寺下さんの携帯電話。雨で完全使用不能)

今回ご協力されました多くの皆様へお礼申し上げます。

ご指導:鳥取大学農学部菌類きのこ遺伝資源研究センター 谷亀 高広 先生


協賛:沖縄レザーファクトリー 様
特別協賛:TARUGO 代表 玉城 進二 様


協力:株式会社沖縄シャングリラ 代表取締役 万代 悟 様
(現地へのアクセスご参照:沖縄シャングリラ様のホームページ)



    タカサゴヤガラの保全の意義

鳥取大学農学部菌類きのこ遺伝資源研究センター

谷亀 高広

 タカサゴヤガラ(Eulophia taiwanensis Hayata)は、ラン科イモラン属に含まれる種で、沖縄県在住の植物愛好家であった故・治井 正一氏によって発見され、琉球大学理学部の横田 昌嗣教授によって、19933月、沖縄生物学会誌にて沖縄島の2か所に分布することが報告された植物です。本種はこの発表以前は台湾の固有種とされていました。極めて狭い範囲にのみ分布する植物であり、環境省刊行のレッドデータプランツリストでは絶滅危惧ⅠA類に指定されています。このランクは絶滅危惧種の中で最も高いランクで、「ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種」として定義されています。

ラン科植物はすべての種が埃のような種子を形成し、種子には発芽に必要な養分が貯蔵されていません。そのため、野外条件で発芽するためには共生する菌類(カビやキノコの仲間)から養分を得て発芽してきます。私はラン科植物の生態的特性を知る上で、このような菌類との関係を調査することが重要と考え、その共生系解明に関する研究活動を行っています。私は中学生の頃からラン科植物が好きになり、大学に進学する頃になると特に野外に自生する野生ランの魅力に惹かれるようになっていました。しかし私の出身は埼玉県であり、沖縄県の野生ランは写真でしか実物を見る機会がなく、憧れの植物が多くありました。しかし大学に進学した直後、知り合いの紹介でタカサゴヤガラの発見者で、沖縄のラン科植物に詳しかった故・治井 正一先生と出会う機会があり、沖縄の野生ランの自生地をいろいろとご案内いただく中で、沖縄の植物が身近な存在となってゆきました。治井先生には数回沖縄県の野生ランの自生地をご案内いただき、そのうちの一つが、タカサゴヤガラの自生地だったのです。その後私は沖縄の植物と同時に、文化や歴史に興味が広がり、かれこれ10回以上沖縄県を訪れることとなりました。訪れるたびに自然や文化の奥深さを知り、最近では年に一度は沖縄を訪れないと寂しい気持ちになるほどです。私の恩師である治井先生は昨年8月に亡くなられましたが、今後も沖縄県に通い文化や歴史、そして貴重な自然に触れてゆくことを楽しみにしたいと考えています。そして、もし叶うならば沖縄の皆様ともおつき合いさせていただければ幸いに考えております。

 沖縄県は希少動植物の宝庫です。植物について言うならば、環境省環境省刊行のレッドデータプランツリストでは、国内の絶滅または絶滅危惧の維管束植物は1731種(絶滅種33種、野生絶滅 8種、絶滅のおそれのある種 1,690種)あるとされています。一方、沖縄県において平成18年に公表された「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物」では、琉球列島に生育する維管束植物で絶滅あるいは絶滅の恐れのある植物は846種類(絶滅種10種、野生絶滅種3種、絶滅危惧394種、絶滅危惧233種、準絶滅危惧種82種、情報不足124種)とされています。全国のレッドデータプランツリストと比較しても、沖縄県における植物種の多様性がいかに高いかが分かります。

沖縄県の気候帯は亜熱帯に位置し、このような地域では種数が多い一方で、それぞれの種の個体数が比較的少ない傾向にあります。希少植物の例として、オリヅルスミレ(Viola stoloniflora)があります。本種は沖縄本島北部の辺野喜川の渓流沿いで1982年に発見されたスミレであり。発見当初種名不明のまま2株が栽培されていましたが、後に新種と判明した。1988年に新種として発表されましたが、この時すでに自生地はダム建設によって水没し、その後もこのスミレは発見されず、野生状態では絶滅したと考えられています。その後、1994年、沖縄本島北部の別のダム建設予定地付近からオリヅルスミレによく似た特徴を持つ植物が発見されましたが、この種はオリヅルスミレと形態的特徴が異なり、変種の可能性が高いと考えられています。

このように面積的には決して広くはないものの、沖縄島を含めた琉球列島は、谷や渓流、平原といった狭い範囲内にそれぞれの固有種が生育する可能性が秘められています。タカサゴヤガラは人間の生活圏内に近い場所に分布する植物です。国立公園として保護されているような山奥に自生する植物以上に、人間の経済活動に自生地の運命が大きく左右されてしまいます。実はこのような植物種を保全することは、山奥に自生する植物を保全するよりもずっと難しいのです。目立たない植物だけに知らずに開発され、自生地がなくなってしまうという不幸な事件が起こりやすいためです。このような植物を自生地内で保全するには、自生地周辺にお住まいの方がその価値に気が付き、保護活動をなされる以外に方法はありません。目立たない植物なのだから消えてしまっても特に問題はない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違えです。それぞれの生物は地球が誕生し、約46億年の歴史の中で、人とともにこの地球上に生きる同胞であり、それぞれの存在自体が替え難い存在なのです。今を生きる私たちはこのような地球の財産を守り、後世に伝えてゆく義務があるのではないでしょうか。この行為は決して多大な負担を伴う行為ではありません。少しだけ地元で生活の場を共にする植物に気を配っていただき、世界で数か所にしか自生しないような希少な植物が近所の草むらに生えていることを、地元の皆様の誇りにしていただければと私は思うのです。

今回、玉城 錦栄さんのご尽力と地元地権者の方のご理解により、タカサゴヤガラの自生地を保全し、一部移植を行う事業が行われると聞き、希少野生植物の生態研究を行っている一人の研究者としてとても喜ばしく思い、感謝の気持ちで一杯です。この活動が続けられることで希少な植物が保全され、地域のかけがえのない宝として保全され愛され続けることを深く念じ、このような行為に参加される皆様へ心より感謝したく思います。
 


NPOブナガヤ・ヘリテージ・クラブ  
沖縄県沖縄市大里1-9-30  

COPYRIGHT BUNAGAYA HERITAGE CLUB ALL RIGHT RESERVED